(2011年11月~2022年12月)
症例数 | 切除数 | 早期癌数 | ||
---|---|---|---|---|
食道癌 | 9 | 8 | 8 | ESD:8 |
胃癌 | 33 | 33 | 29 | ESD:16 未分化型:8 |
大腸癌 | 52 | 51 | 35 | ESD:23 1例は手術拒否 カルチノイド:2(ESD) |
十二指腸癌 | 2 | 2 | ||
肝細胞癌 | 18 | 8 | ||
肝内胆管癌 | 2 | 2 | ||
胆嚢癌 | 3 | 2 | 1 | |
肝外胆管癌 | 8 | 2 | 高齢のため非切除:2 肝門部:5 |
|
膵臓癌 | 13 | 6 | 1 | |
消化器がん 合計 |
140 | 114(81.4) | 74(52.9) | |
甲状腺癌 | 45 | 45 | ||
乳癌 | 27 | 27 | ||
腎細胞癌 | 4 | 3 | 3 | 1例は高齢のため経過観察 |
膀胱癌 | 6 | 6 | 6 | TUR:6 |
前立腺癌 | 36 | 7 | ||
皮膚癌 | 2 | 2 | ||
肺癌 | 8 | 2 | ||
喉頭癌 | 3 | 1 | 放射線療法:2 | |
子宮頸癌 | 2 | |||
子宮体癌 | 1 | 1 | 1 | |
卵巣癌 | 2 | |||
その他 | 16 | 2 | 胃MALTリンパ腫:1 転移性肝癌:3 白血病:1 虫垂癌:1 大腸MALTリンパ腫:1 悪性リンパ腫:4 副腎悪性リンパ腫:1(切除) 卵管癌:2 下咽頭癌:1 膀胱悪性リンパ腫:1(切除) |
|
合計 | 292 | 200/230(87.0) |
※切除数:転移性肝癌(3)、前立腺癌(36)、その他の悪性疾患(16)、高齢・手術拒否例(4)、喉頭癌(3)を除く。
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花粉症(アレルギー性鼻炎、結膜炎)には、漢方薬が副作用も少なく、よく効きます。
鼻水には、小青竜湯
鼻づまりには、葛根湯加川?辛夷
後鼻漏には、荊芥連翹湯
結膜炎には、柴胡清肝湯
それぞれの症状や体質に合わせて処方も変わります。
症状がひどい場合には、抗アレルギー剤との併用も有効です。
当院にご相談ください。
機能性ディスペプシア(胃腸症)。
内視鏡などの検査を受けてもこれといった異常が見つからないのに、もたれや痛みなど上腹部の症状が慢性的に現れる病気だ。ストレスや不規則な生活が関与する現代病とも言える。
みはらライフケアクリニック(熊本市上南部)の三原修一院長は「重大な病気がないと保証されたようなもので、ひと安心です。つらい症状は、生活の改善や漢方薬などでかなり楽になります」と話す。
原因ははっきり分かっていないが、胃の貯留・かくはん・排出の機能異常、内臓知覚過敏などで起こる。ストレス病的な側面も。過敏性腸症候群、非びらん性胃食道逆流症とともに機能性消化管障害の一つ。
主な症状は
①食後の胃もたれ、むかつき、
②少し食べただけで食べられなくなる早期膨満感、
③みぞおち周辺の痛み、
④みぞおち周辺が焼ける感じ。
「これらの症状は、胃がんや胃・十二指腸潰瘍、胆石、膵炎などの病気でも現れます。
症状が数カ月以上続くようなら、内視鏡や超音波検査を受けましょう。 異常なしと聞いただけで症状が治まる方もおられます。 健康不安は大きなストレスになり、胃腸に症状が現れ、それがまたストレスになるという悪循環に陥りやすくなります」と同院長。
「異常なし」と診断されても症状が続く場合は、生活習慣を見直すことが先決だ。
胃に優しい生活を心掛けるには、暴飲暴食をしない、規則正しい時間に食事を取る、脂っこいもの、甘いもの、刺激物は控えめに、ゆっくりかんで腹八分に。 お酒は飲みすぎない、禁煙する、食後は一休みするなどの注意が必要。睡眠不足や過労を避け、ストレスは上手に解消したい。
薬は対症療法で、症状に応じて処方される。
胃もたれや早期膨満感があれば消化管運動機能改善薬、痛みや胸焼けには胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬、H2ブロッカーなど)、心理的要因が強いときは抗不安薬を使うこともある。また、機能性の病気には副作用が少なく体質を整える漢方薬を使うのも一手だ。
漢方薬は患者の体質によって処方を変える。「粘膜保護作用があり誰にでも使いやすいのは六君子湯。食欲がなく冷え気味の人には人参湯、胃が痛む人には安中散や半夏瀉心湯、ストレスが強い人には気の巡りを良くする四逆散などが向いています」と同院長。
ピロリ菌との関連はよく分かっていないが、機能性の患者にはピロリ菌に感染している人はむしろ少ないという。ただ、ピロリ菌に感染している機能性の患者に除菌を行うと症状が改善するケースもみられる。
「何となく胃腸の調子が悪いのは、今や国民病。胃腸はストレスの影響を受けやすく、現代人の生活は胃腸に負担をかけます。不安を抱えたまま市販薬をずるずる飲み続けると副作用も心配ですし、がんが潜んでいるかもしれません。まず検査を受けて診断をつけることが肝心です」と三原院長はアドバイスする。
胃にやさしい生活を!
*暴飲暴食をしない
*規則正しい時間に食事をとる
*脂っこいもの、甘いもの、刺激物は控えめに
*ゆっくり噛んで腹八分目に
*お酒は控えめ、禁煙を
*食後はゆっくりする
*睡眠不足、過労、運動不足は禁物
*上手にストレス解消を
(熊本日日新聞 平成23年12月29日朝刊)
近年、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因としてピロリ菌が注目されています。
従来、胃の中は酸度が強く、細菌は住めないと考えられてきました。
ところが、1980年代に、胃の中に住み、胃壁を傷つける細菌が発見されヘリコバクター・ピロリと命名されました。
この細菌を発見した人は、ノーベル賞を受賞しました。
日本人の約半数が、ピロリ菌に感染しています。
若い世代の感染率は低く、加齢とともに感染率が高くなり、50歳以上では70%くらいの人が感染しています。
免疫力が弱い5歳以下の幼少時に、経口的に感染するとされています。
下水道未整備など、衛生環境の良くない発展途上国で感染率が高いことから、 日本でも衛生環境の良くない時代に育った人に感染率が高いと考えられています。
ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜を傷つけ胃炎が起こります。
そして時間をかけて、慢性的に炎症が持続し、胃の粘膜が薄くなる慢性萎縮性胃炎となります。
慢性萎縮性胃炎では、胃粘膜の防御機能が低下し、ストレス、塩分の多い食事、発がん物質(タバコなど)の攻撃を受けやすくなり、 胃・十二指腸潰瘍や胃がんが発生しやすい下地ができてしまいます。
しかし、潰瘍やがんを発症する人はピロリ菌感染者のごく一部ですから、過剰な心配は要りません。
そのほか、ピロリ菌と関係のある疾患として、マルトリンパ腫、過形成性ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病、逆流性食道炎、鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹などが上げられます。
ピロリ菌除菌によって、これらの疾患も良くなる例が多々見られます。
ピロリ菌に感染しているかどうかは、いろいろな方法で調べることができます。当院では以下の方法で行っています。
1)抗体測定法:尿中または血液中のピロリ菌に対する抗体を調べる。
2)迅速ウレアーゼ法:ピロリ菌が分泌するウレアーゼの働きで作られるアンモニアの有無を調べる(内視鏡による組織採取が必要です)。
3)尿素呼気試験:呼気を採取して、ピロリ菌が分泌するウレアーゼの働きで作られる二酸化炭素の量を調べる。
ピロリ菌の存在はどの検査でも確認できますが、除菌療法後の判定は、最も精度の高い尿素呼気試験で行うのが主流です。
ピロリ菌を退治すれば(除菌療法)、慢性萎縮性胃炎は改善し、潰瘍や胃がんの発生はかなり抑制されることがわかっています。
ピロリ菌の除菌療法は決まっており、 PPI(プロトンポンプインヒビター:胃酸抑制剤)、アモキシシリン(抗生剤)、クラリスロマイシン(抗生剤)の3剤併用で行います(一次除菌)。
除菌に失敗した場合は、クラリスロマイシンをメトロニダゾール(抗生剤)に替えて二次除菌を行います。
除菌成功率は、最近では低下傾向にあり、一次除菌で60~70%、二次除菌で90%以上です。
日赤熊本健康管理センターで1,600人以上に除菌療法を行いましたが、一次除菌成功率88%、二次除菌成功率98%です。
保険診療の適用となるのは、
①胃潰瘍、②十二指腸潰瘍、③胃マルトリンパ腫、④特発性血小板減少性紫斑病、⑤胃癌の内視鏡的治療後の再発予防、に加えて、 ⑥ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(平成25年2月22日追加)です。
胃・十二指腸潰瘍等がなくても、内視鏡検査とピロリ菌検査でヘリコバクター・ピロリ感染胃炎が確認できれば、除菌治療ができるようになりました。
ピロリ菌の除菌に成功すると、胃粘膜の炎症が改善して胃酸分泌が活発になります。
そのため、逆流性食道炎(むなやけ、みぞおちの痛みなど)、胃炎、十二指腸炎等が起こる事があります。
喫煙、飲酒、食事(刺激物、甘い物、油物等)、ストレスなどに注意するとともに、必要に応じて胃酸分泌抑制剤を内服すると改善します。
また、ピロリ菌除菌が成功すると胃・十二指腸潰瘍や胃癌は発生しにくくなりますが、全く発生しないわけではありません。
除菌成功後は必ず、年1回内視鏡検査を受けるようにしてください。
ピロリ菌(HP)感染によって慢性萎縮性胃炎が進んでいきますが、どの程度胃炎が進行しているかを調べるのがペプシノゲン(PG)検査です。
胃酸(ペプシン)の前駆物質であるPGを計ることによって、胃がんのリスクがわかります。
ピロリ菌感染がなく、PG陰性の人(A群:HP-・PG-)は、胃がんはほとんど発生しません。
ピロリ菌に感染すると胃がん発生のリスクが高くなり、PG陰性(B群:HP+・PG-)よりPG陽性(C群:HP+・PG+)の方がリスクが高くなります。
さらに萎縮性胃炎が進んでくると、ピロリ菌が住めない状態となってしまい(D群:HP-・PG+)、最も胃がんが発生しやすくなります。
したがって、B、C、D群の人は定期的に(B群:2~3年に1回、C群・D群:年1回)内視鏡検査受けることが推奨されています。これを “ABC検診”と呼んでいます。
緑茶、にんにく、ヨーグルト(LG21)などの食品にピロリ菌の増殖を抑える効果がありますが、ピロリ菌が消滅することはありません。
ピロリ菌を消すには前述の除菌療法しかありませんので、
これらの食品はあくまで健康補助食品として利用するのが良いでしょう。
当院でも、ピロリ菌の除菌療法(保険診療、自費診療)を行っていますので、御希望の方は、ご相談ください。